ミドリガメのサチコちゃん 其の参

投稿者:ヤウジロウ


サチコちゃんと出会って1年。その頃の僕は学園寮に住んでいた。つまり、サチコちゃんは学園寮の105号室に飼われていたのだ。

もちろん、飼い主はサチコちゃんを釣り上げたT山さん・・・の筈だ。

一年もあっと言う間に過ぎ、僕が退寮の準備をしていた時の事だった。

(僕は一年で学園寮を出ました。その後は今の一人暮らしです。)

T山 「ヤウ。引越しの時、カメ忘れんなよ。」


荷造りをしていた僕に、突然T山さんが言い放った。

僕 「え!?T山さん持って行かないんですか?」


T山さんはこの年で卒業だ。僕はてっきりT山さんがサチコちゃんを持って行くのかと思っていた・・・が、甘かった。

T山 「持って行ってもいいんだけどさ、俺が世話すると思うけぇ〜?」


そりゃそうだ。考えてみたらT山さんが仕事と世話を両立できるとは思えない。かと言って、僕も自分の事で手一杯だ。

僕 「マジッすか?自分が持って行くんですか?捕って来たのT山さんっすよ。」


T山「何よお〜。クニもいらないんけぇ・・・じゃぁ、俺の新居に遊びに来た時一緒に連れて来てよ。それでいいべ?」


僕 「え〜、T山さんの新居ですか?う〜・・・じゃぁ、クール宅急便で送っときますから。」


T山 「そんなことしたら死ぬべや!持っていかないと、車出さないからな。」


それはまずい。寮にある荷物を運ぶのに、T山さんの車が無いとシャレにならない。

僕 「分かりましたぁ。持っていきますぅ。持って行かさせて頂きます。」


と言う訳で、サチコちゃんは僕が預かる事となった。

しかし、あれからT山さんの新居に遊びに行く事も無い・・・



きっと(絶対)カメのこと忘れてるんだろうなぁ〜・・・フゥ〜

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