投稿者:ヤウジロウ氏
SF世界における必需品といえば、「ワープ機能」ではないだろうか。
ワープ。それは人類の憧れである。もしワープが実用可能技術まで向上すれば、物品の流通が容易になるばかりではなく、人種間における移動も容易になる為、様々な文化が入り交ざり、新たな文化と歴史の始まりとなるだろう。
こんな素晴らしいシステムが、まだ現実のものとならないのは何故か。
映画やアニメでのワープ機能と言うのは非常に優れている。エネルギーをチャージするのに時間がかかったりする場合もあるが、その先は一瞬で目標ポイントに着く。ただし、これが物語の冒頭などだと、システムが暴走し異次元空間に投げ出されたり、過去に飛んだりするのだ。
このシステムを考えてみると、どういった原理でワープ現象を起こしているのかが分かる。
まず、ワープするためには何が必要か。それは目標地点と現地点との距離をいかに縮めるかという事だ。
スタート地点が東京だとする。目的地は大阪としよう。現在民間で簡単に使用できる交通機関で最短を計るのは新幹線である。2時間半程で着くという時点で、初代の新幹線を知る人にとっては驚きであろう。しかし、電話はどうだろうか。東京からコールした場合。それはタイムラグ無しで会話が出来る。確かに、これが地球の裏側などになると多少の誤差はある。衛生中継で声が送れて聞えるのはこの為だ。
流石に地球の裏側とまではいかないものの、東京大阪間であれば問題なく会話が可能だ。つまり、この電話回線を使ってワープが出来ないか考えてみる。
まず、ワープBOXと呼ばれる元電話BOXのよな形の箱に入る。指定する目的地を入力。ワープトラブルに関する処置として個人情報をシステムに入力、また身体スキャンをする。そして転送ボタンを押す。
するとBOX内で人間を分子レベルに分解し、電気信号と変換してケーブル内を走らせるのだ。目的地に着いたらなら、個人情報を元と先ほどスキャンしたデータを元に復元する。
いわゆる、自分を一度データー化し電子メールの方法で添付送信するという方法だ。
しかし、これは大変な問題がある。それは分子レベルに分解した時に、他の物が乱入してくる可能性である。映画「ザ・フライ」では、このワープ機能の事故から物語がスタートする。つまり、転送する時に蝿も一緒に分解された為、目的地点で組み立てた時、蝿の情報も取り込んでしまったのだ。つまり、蝿人間の誕生である。という事は、このシステムはワープのようで実は物体ミキサーでもあるのだ。
昔の特撮ヒーローで、なかなか勝てない悪者が、兵士を合体させるべく、大きな釜に入れて合体怪人を作ったものだ。あれと同じ現象が起こるという事だ。なので、釣に行ってきたお父さんがなかなか帰って来ないとき、探しに出た子供は転送BOXの前にやってくる。すると、父の姿をした人間が、口をパクパクさせて、地面をのた打っているか、または、父の服を着た大きな魚が二本足で歩いてくるだろう。どちらにしても、子供が受ける衝撃は大きい。二度と魚は食べないだろう。
また、このシステムにおける一番恐ろしい点は、電気信号に変換された時に停電や断線でデーターが消失することである。つまり、文字通り消えるのだ。そして消えてしまったデータを復活させる事は難しい。その時点で一人消えるのだ。たとえ復活出来たとしても、完全な復活でない為、記憶のデータが抹消されていたり、男ではなく女だったり、手と足が逆に付いていたりと、悲惨な状況は否めない。
では、もっと安全なワープは無いのか。
物と物には互いに引き合う力、万有引力が発生する。その力を利用し、互いに引き合って移動するのはどうだろうか。超能力によるワープ(テレポーテーション)がこの種だと言われている。彼等はイメージの中で目的地店に縄をかけ、引き寄せる感覚を作るそうだ。すると、向こうも引っ張られ、自分からも引いて近付く。この繰り返しで、距離を縮めるそうである。
では、この現象を特殊能力を有さない我々が行うにはどうすれば良いのか。
簡単である。相対引力を強めれば良いのだ。引き合う力が強ければ強いほど、違いの空間に摩擦が生じる。ぶつかり合う、二つの空間はもっと引き合い近付き、もっと引き合い近付き、間の空間を捻じ曲げるのだ。
イメージとしては大陸大移動である。パンゲア大陸から大移動を開始し5台大陸に分断した。その際に移動する大陸は衝突し、合体し、また離れたりした筈だ。それと同じ現象である。
A大陸とB大陸がある。A大陸は右へB大陸は左へ動く。互いに押し合うが、同じ力がかかっている場合、力の逃げ場として大陸は持ち上がり、衝突した車のボンネットの様に潰れる。これと同じ現象でワープをする。つまり、向こうからも近付き、こらからも近付く。そしてその間にある空間を崩壊させていく。
駄目である。それでは本末転倒というか、日本が地球が壊れてしまう。
つまりこのシステムの最大の課題は、BOXの空間と外の空間を違う空間にする必要があると言う事だ。
では、空間を超越するにはどうしたらよいのか。それは光をも吸い込むブラックホールを作る事ができれば、空間をも超越できる筈だ。ブラックホールはその調強力な引力ゆえに、空間さえも飲みこんでいる。
このブラックホールは理論上では、吐き出すホワイトホールがあると考えられている。これを上手く利用し、ワープが可能かどうか考えてみる。ブラックホールは「大きな穴」である。イメージ的にはよく伸びるゴ板をの端を固定し、反対側を伸ばした感じである。
伸ばしている方がブラックホールの中心である重力。そして固定されている方が外の世界となる。
この時このゴム板では何が起こるかというと、引っ張られている端の方がよく伸び、固定されている端はあまり伸びていない。つまり、伸びる力は均等に掛かるのではなく、力点から及んでいくという事だ。
この現象をブラックホールに当てはめてみる。すると、手を突っ込んだ段階で、手先の空間が伸びる。しかし、足の空間はまだ外の世界なのでそのままになる。しかし手は重力に引っ張られ、肩、頭、胸、体、腰と次々と吸い込まれ伸ばされていく。この時、一番面白いのは自分が細い麺の様な現象になる事だ。コレを「スパゲッティー現象」と呼ぶ。そして出口であるホワイトホールに放出されるのである。
戻る時も空間は元来た様に収縮するので、体に変化は無いと考えられる。が、やはり問題はある。光をも吸い込む程の重力である。どれほどの速度で引っ張られるか分かったものではない。
ここに名言がある。「車は急に止まれない」。その通りである。吸引された人間がそのまま放出される。着地ポイントは毎回ホワイトホールから飛び出してくる人が壁に衝突し、肉塊へと変貌を遂げる様を目の当りにするだろう。それはそれは派手にクラッシュするだろう。減速装置を取り付ける必要が有る事を、そこで悟る筈だ。
他のワープ方法は無いのだろうか。あるにはある。新幹線の様に単に早い乗り物を作ればいい。その乗り物が音速から光速とスピードを上げる事ができれば、これは立派なワープである。
一瞬の光に包まれると、そこはもう大阪。なんと素晴らしく安全な装置なのだろうか。しかし、もちろんこれにも欠点がある。光の速度に近付けば近付くほど、タイムマシーンの要素が組み込まれ、時代を進んでしまう。出発した筈なのに、付いたら明日だったとか、最悪100年後とかもありうる。
浦島太郎現象である。その説明は論文の「タイムトラベル」で説明してるので、ここでは控えよう。
兎に角、我々が望むワープ装置とは、とても危険な装置であることには間違いない。しかし、その便利さ故に多少のリスクを甘んじてしまうのが、人間である。まずは、その根本的な所の改善から行わなければならない気がするのだが、皆さんはどのようにお考えだろうか。
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