投稿者:ヤウジロウ氏
春はポカポカと暖かい風。夏は暑さを忘れさせる爽やかな風。秋は木の葉を舞わせる巻き風。冬は寒さを痛感させる北風。このように、世界中何処でも吹くのが風だ。しかし、風とは一体どの様にして出来るのだろうか。
昔の人は風を神が起こしていると思っていた。それが世に云う風神様だ。風神の担ぐ大きな風袋を開くと風を起こすことができる。一説では、その開口の大きさで風の強さが調節できたらしい。その風袋中身には風が詰まっていて、決して無くなる事は無かったようだ。
ここで余談だが、風神の相棒といえば雷神様だ。雷神は字の如く雷の神で、雷を自在に操る事ができる。そして、風神の風袋と同じく、雷神には雷を起こすための道具がある。それは雷太鼓だ。背中に背負った太鼓を叩くことで、雷雲を呼ぶことができる。雷の制御は、その太鼓の叩き方で決った。強弱を付けることで、雷雲の大きさと強さを調節できたようだ。
さて、話がずれたが本題に戻るとしよう。風の起こしかたが、風神によるものでない事くらい、この科学の時代分かり切ったことだ。では、この自然現象は一体どの様に起こっているのだろうか。
天気予報でよく「高気圧」「低気圧」という言葉を耳にする。風が高気圧から低気圧に吹くことは、小中学校の理科で学んだことと思う。そもそも風とは、地球規模の対流がそうなのだ。
空気とは、暖められると上昇し、冷やされると加工する性質を持つ。つまり、暖かい所と寒い所がある限り、風は止まない事になる。地球で考えると、赤道で暖められた空気は、寒い北極か南極目指して対流し、逆に北極・南極で冷やされた空気は、暖かい赤道目指して対流するという仕組みだ。部屋で暖房を付けた時の事を思い出してもらいたい。暖かい空気は天井へ、冷たい空気は床へ集まるが、ずっとそのままだろうか。いや、空気の対流によって早い時間で部屋全体が温まるはずだ。この温度差を考えると、海風や陸風がわかる。陸は暖められやすく冷めやすい性質がある。夏、陸地が暖められると、海と陸で温度差が生じ、海から冷たい風が吹いてくるのだ。これを海風という。冬はその逆で、海のほうが陸よりも暖かいので、陸から吹く陸風になる。つまり、心の冷たい人と心の暖か人の周りには、微妙な風が吹いていることと同じなのだ。
以上ように、風は暖かい所と寒い所の間で吹くことが分かった。という事は、外気温と体温との差で風は吹くのではないだようか。答えはYESだ。若干ではあるが、体の周りで風が対流している。夏の暑い日、風が無く暑苦しい時があるだろうが、全裸になり仁王立ちすることで、若干の風を感じる事が出来るだろう。但し、その時の風がやや匂い付であることを予め予想しておいて欲しい。また、真冬での行為は、自殺的行動であり、絶対にやらないでもらいたい。そして、場所を考えろ。外での行為はK察が近寄ってきて、手に鉄製の冷たい物を装着してくれるだろう。
最近では高層ビルが立ち並び、空気の対流によって生じる以外にも、風が発生しているのをご存知だろうか。そう、一般にいうビル風の吹き降ろしだ。これは、高層ビルで風上と風下に気圧の差が生じるために起こる。皆さんは、冷たい風が吹く日に体の大きな人の後ろに立ち、風除けになってもらった事は無いだろうか。あれは大きな間違いだ。風除けになってもらう人は、たいてい自分よりも大きな人だ。つまり、風除けの人の背に隠れる事で、風下に立った自分側の気圧が低くなり、更なる突風を浴びる事になるのだ。
最後に、風の大きな作られ方は「高気圧から低気圧の間に生じる」と話したが、これは人体でもいえる。実は高血圧と低血圧の人の間には風が起こっているのだ。街を歩いていて、人とすれ違った時に微妙な風を感じ取ったことは無いだろうか。それは、相手が高血圧か低血圧のどちらかだった証拠だ。ここでいう「微妙な風」とは、嫌に生暖かく温もった風のことで、個人的にはあまり体感したくはない風だ。
心の風や血圧の風は、最近では嘘発見器に用いられる事が多い。犯人の周りを漂う風を微妙に判断し、その変化で嘘かどうかを見分けるのだ。しかし、それ以外の場面で感じ取る心の風・血圧の風は、その人の心理を表す風なので、感じとっても黙っておくのが礼儀だろう。
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