ミカ基地TOPへ / 大嘘論文TOPへ

進化する脳

投稿者:ヤウジロウ氏


我々人間が他の動物達とは違い、高い知能を得たのは何故だろうか。それは進化過程での脳の発達に遡る。我々の祖先というのは、簡単に言えば原人だ。この頃から人は武器を使い、狩りをし道具を使い火をおこしたと言われている。つまり、この時から他の動物と違い高い知能を持っていたのだ。しかし、武器を作り出す知識と、それを使いこなす技術が有りながら、今のように言葉を話してはいなかった様だ。確かに、危険を知らせる発音や、仲間を呼び集める遠吠えに近い言葉は有ったと考えられるが、「おはようございます」や、「今日は寒いですね」などといった言葉と言葉のコミュニケーションは無かったと考えられている。これは、単に脳の発達がまだ言葉と言うものを作り出すだけの発達をしていなかっただけの話で、当時脳が非常に発達した原人が存在していれば、言葉を話せた筈だ。もちろん、発音と言う細かい舌や唇の動きに対応できる骨格があったかと言う疑問もあるが、それは、発音できる状態に近づくにつれ形が整って行くもので、やはり脳の発達である事が考えられる。

さて、当時原人だった人の脳は今の人の脳とどう違うのであろうか。原人は狩りを楽にする為にヤジリや、棍棒といった狩猟道具を発明した。また、言葉が無かったので、コミュニケーションの一つして壁画が用いられたと考えられている。つまり、空間構成や直感力、想像力が非常に長けていたのだ。

では、これらの思考は何処の脳が司っているのか。それは右脳である。逆に左脳は言葉の理解力や表出、倫理的思考を司っている。先刻述べて様に、言葉に関する知識は発達していなかったので、左脳はあまり発達していなかった筈だ。

それから時は流れ、弥生時代辺りまで来ればもう人間の脳は今と殆ど変わらない状態に出来上がっている。武器を作り上げる知識、そして技術、言葉を発する知識、理解能力。右脳と左脳のバランスがとれ、人間は集団の中から産業を築き上げる事になる。逆を言えば、本能で生きていた原人の脳に比べ、バランスがとれ、適度に計算や理解力を得た人間は、思考力が高まり争いを起こす。つまり、隣の国の領土を手に入れれば自国は大きく成長するであろう、という想像を描く事が出来るのだ。

左脳が発達し戦が起きるのであれば、左脳なんて発達しなければよかった。と思うかもしれないが、この戦によっても左脳は更なる進化を遂げるのだ。敵の戦略を考えるだけの計算高さ、また、いかに地形を生かし攻め込むかの空間的能力の向上により、左右の脳は目覚しく成長と遂げることとなる。

そして現在、この想像力も倫理構成も高まった状態で持っている私たちであるが、その機能も使わなくては退化する。今までは、次なる物を目指して脳が活用されていたが、現在では何でもある時代だ。欲すれば大抵の物は手に入る。そんな中、どう脳を刺激し発達させる事ができようか。考える力を失い、只流されるように生きていく現在人は本来の脳の活用度数を遥かに下回る。

脳は使えば使うだけ発達していく凄い部位だ。脳と言う部分は体験した事を記憶し、常に成長を続ける。脳を開いた時に見えるシワの様な部分が多いほど記憶している事柄が多いと言うのは本当だ。例えるならば、パソコンのデータが入っている部分がシワで表される。つまり、シワはデータ用量であり、全くシワの無い脳はフォーマットされた様に、全く何も入っていないスッカラカンの脳である証拠となる。

人間の脳は140億という神経細胞(ニューロン)から出来ているが、僅か7〜8歳で大人の脳等比重の 95%まで達することが判っている。後に神経細胞から伸びる樹状突起が盛んに分岐を繰り返し、より密になるのだ。つまり、95%脳が出来上がる7〜8歳以後からが問題なのだ。

学校で学ぶ授業で脳は成長をする。ここに、学校に全く行かず引き篭もっていた少年と、学校へ通い勉学に勤しんだ少年がいたとしよう。この少年等の脳を見ると、脳に明らかな差がある事が判る。学校へ通い勉学に勤しんだ少年の脳は、発達し重くなっているが、学校へ行かず家に篭った少年の脳は発達が著しく劣っている結果がでる。よって、引き篭もった少年は引き篭もった時期のままの脳であり、体は成長しても脳が成長していない為、何時までも子供のままなのである。

中学で、「関数だの化学式だのと、将来社会へ出てもそんな勉学は役に立たない」と感じた事は無いだろうか。確かに一部の職業を除いてはそうかもしれないが、その授業を学ぶ事で、理解出来ずとも脳は発達し、後に自分の糧となるのだ。だから、全て無駄と思わず勉強してみるのも悪くはない。

しかし、昨今の現代人は勉学を疎かにして来たのか、よく使われる常用漢字の意味が判らなかったり、ことわざの意味を履違えていたするのをよく見る。これは明らかに脳の樹状突起の分岐、つまりシワの数が減った事を意味している。そう、脳の退化である。また、授業削減と言う脳活性化を疎外しようという政府の策略により、現代人の脳細胞は早期より衰え始めている。本来脳は25歳くらいで出来上がり、そこから徐々に退行していくのだが、叱るべき時期に脳への刺激が無くなった為、彼等が成人になる時期その知能指数は予想を遥かに下回る結果となるであろう。また、彼等が大人になり、その子供達が彼等から学ぶ。その内容が今よりもずっと薄い情報である事は確かだ。つまり、今後の日本の人の脳は衰退の傾向に有り、最終的には原人時代への退化現象が起こるやも知れない。

この危機を打破する為に今我々がし無くてはいけない事、それはより多くの情報を吸収するという事ではないだろうか。読書はもちろんの事だが、実体験をする事が一番脳を刺激する行為だ。

昔の有名な言葉で「よく遊び、よく学べ」とあるが、まったくその通りなのである。

<< 大嘘論文のページへ

このページのトップへ >>


※当サイトに記載される文章・画像等の転記は禁止したします。