投稿者:ヤウジロウ氏
皆さんは酸性雨というものを御存知だろうか。酸性雨とは、化学的に云うならば、工場や車などから排出される硫黄酸化物(SOx)と窒素酸化物(NOx)が大気中の水と結合することによって硫酸(H2SO4)と硝酸(HNO3)に変化したものである。これが雨となって、今我々の頭上から降ってきているのだ。
まず、酸性雨の話をする前にpHのおさらいをしておこう。pHとは全14段階に分けた水素イオン濃度指数のこという。その値が0に近いほどより強い酸性で、逆に14に近いほどより強い塩基性(アルカリ性)となるのだ。つまり、その真ん中のpH7であれば中性となる。また、酸性と塩基性を同じ値で反応したさせると、中性になり、これを中和反応と呼ぶ。
さて、全国の平均pHは大体5.3〜5.6の値にあるらしい。この値は、「酸性の傾向がある」程度で、これくらいでは人体への影響はあまり無いように思われる。しかし、これはあくまでも全国平均である。要所要所に見るならば、低いところではpH3.6、高ければpH8.5もあるようだ。
pH3.6といえば、弱酸性の値だ。そんなものがお天道様から降ってきた日には、傘は欠かせないだろう。そして、pH8.5だが、これも弱塩基性の値だ。この互いに釣り合ったpHの値があるからこそ、全国的に見て、我々はあまり気にもせず安心してしまうのだ。そしてこの値は、徐々にではあるが下降の値をとっている。つまり、pH2の雨が降るのは時間の問題なのだ。試しに考えてもらいたい。貴方の住んでいる地域の酸性濃度は一体どれ位の雨が降っているか知っているだろうか。もしかしてこのpH3.8という値は、貴方の家の周りで叩き出された記録かもしれないのだ。
そして考えてもらいたい、来るpH2の雨が降る世界を。きっと地獄のような光景だろう。その雨に打たれた人は、皮膚から煙と焼肉の焼ける様なジュゥという音を発しながら悶え苦しむことだろう。学生のお兄さん、もし下校中に突然降ってきた雨に、「雨に濡れながら帰るのも悪くないか」なんて思ってはいないか。そんなTVドラマのワンシーンみたいに、クールな男を演じようとした日には、体から悪臭と煙を出しながら、絶叫ダッシュで帰宅することになるのだよ。
つまり、傘は出かけるにあたって、必需品となるだろう。いくら酸性の雨でも肌に触れなければ大丈夫。と、思いかもしれないが、それは甘い。服を溶かし皮膚を焼くほどの酸性だ、ビニール傘ごとき簡単に溶かしてしまう。突然の夕立に、慌てて傘を広げるが、ビニールが溶け、その隙間から滴れる雫に脅威を感じるだろう。そして、夕立が過ぎ去った頃、骨組みだけ残った傘に、骨だけになった身元不明者が発見されるのだ。
しかし、そんなことでは雨の日は一歩も外へ出かけることができない、と思うかもしれない。しかし、そこで必要となるのが、冒頭で述べたpHの特徴なのだ。つまり、酸性の雨を防ぐには、塩基性で中和してやればいい。簡単に言うならば、pH2の酸性雨が降るならば、pH12の塩基性で中和してやることで、中性の雨と何ら変わらなくなるのだ。では、どうやって中和すかという問題だが、出かける前に頭からそのpH12の液体を浴びて行けば、外に出て雨が触れることで中和してくれる。これで雨の日でも外出ができるようになった。
しかし、ここで一つ難点がある。皆さんは帰宅してから手を洗うだろう。それは何で洗っていうだろう。石鹸ではないだろうか。今は液体状のものもあるが、どちらも中身は塩基性だ。また、新しく弱酸性の物も出ているが、その話はここでは置いておこう。
この塩基性石鹸だが、使用するとヌルンヌルンしなだろうか。いや、ヌルンヌルンするはずだ。というもの、これは極薄い層の皮膚を溶かしている為、そう感じるのだ。バイキンだけを洗い流していると思ったら大間違いなのだ。もし、ヌルンヌルンしないと思った人は、それが塩基性石鹸であるか試しに舐めてみれば分かる。苦ければ塩基性、酸っぱければ酸性となる。が、多量に舐めると味を感じた後に猛烈な吐き気に襲われるので、良い子の諸君はやらないでもらいたい。
このことを踏まえると、pH12の液体を頭から被った時、家の中で断末魔の叫びを聞くこととなるだろう。被ったその瞬間、ゆっくりとズレ落ちる皮膚は想像するだけでも恐ろしい。つまり、被ると同時に外へ飛び出さないといけないのだが、これには熟練度を要するだろう。その技はほぼ禁じ手、奥義といっても過言ではない。その為、緊急時意外は使用を控えてもらいたい。何故なら、その人を助けに行く救急隊員もそれと同じ事をしなくてはいけないからだ。二次災害だけは防がなくてない。
最後に、pH2の酸性雨対策として、塩基性の石鹸等を買い置きしておくことを進めておく。場所はとるが、腐りはしない為、あって損はないだろう。
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